オートマチックトランスミッションの使いかた
オートマチック車の特性
オートマチック車は、クラッチ操作とギアの切り替えを自動化した車で、その分操作の負担が軽くなります。運転は楽になりますが、安易に運転することは禁物です。オートマチック車の特性を理解し、正しい操作をする習慣をつけてください。
クリープ現象
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エンジンがかかっているとき、セレクトレバーがP、N以外に入っていると、アクセルペダルを踏まなくても車が動き出します。この現象をクリープ現象といいます。
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停車中は車が動かないようにブレーキペダルをしっかり踏み、必要に応じてパーキングブレーキをかけてください。
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エンジン始動直後やエアコン作動時は、エンジンの回転数が高くなりクリープ現象が強くなります。ブレーキペダルをしっかり踏んでおいてください。
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渋滞や狭い場所での移動は、クリープ現象を利用すると、アクセルペダルを踏まずにブレーキ操作のみで速度を調節できます。
キックダウン
走行中にアクセルペダルをいっぱいに踏み込むと、キックダウンすることができます。
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追い越しや高速道路での合流など、加速が必要なときに行ないます。
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すべりやすい路面やカーブを走行するときは、急激なアクセル操作はしないでください。
アクセルペダルを踏み込んでいくと途中で重くなり、さらに踏み込むと軽くなります。
この踏力の変化はキックダウンさせるためのアクセルペダルの踏み込み量を容易に認識し、キックダウンさせる·させないをコントロールするための機能です。
各位置の働き
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P (パーキング)
駐車およびエンジンを始動する位置。
R (リバース)
車を後退させる位置。
チャイムが鳴り、セレクトレバーがRに入っていることを運転者に知らせます。
N (ニュートラル)
動力が伝わらない位置。
エンジンを始動することはできますが、安全のためPの位置で行なってください。
D (ドライブ)
通常走行する位置。
車速に応じて1速から6速までを自動変速します。
M (マニュアル)
マニュアル走行する位置。
ギヤ位置を手動で切り替えることができます。
→参照「マニュアルモード」
セレクトレバー位置表示
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電源ポジションがONのとき、使用中のセレクトレバーのセット位置を表示します。
ギア位置表示
マニュアルモードのとき使用しているギア位置を表示します。
AASモードについて
AAS (アクティブアダプティブシフト) モードとは、運転者が快適に運転するため、道路の状況や運転者の操作に最適なシフトポイントを自動的にコントロールするモードです。
セレクトレバーがDの状態で、登り坂や下り坂、コーナーや高地を走行したり、アクセルペダルをすばやく操作することでAASモードになる場合があります。
走行状態、路面状態、シーンや操作に応じて、最適なギヤ位置を維持するためシフトチェンジが遅れたり、行なわれない場合がありますが、異常ではありません。
シフトロック装置
シフトロック装置は、発進時の誤操作を防ぐためのものです。
シフトロック装置の解除
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万一、セレクトレバーをPから操作できないときは、カバーをはずし、ブレーキペダルを踏み、マイナスドライバーなどで解除ボタンを押したまま、セレクトレバーボタンを押してセレクトレバーを操作します。
マニュアルモード
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セレクトレバーをDからMに入れるとマニュアルモードになります。
マニュアルモードでは、ギア位置を手動で切り替えることができます。
セレクトレバーをMからDに入れるとマニュアルモードが解除されます。
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停車時にマニュアルモードにした場合、ギアは1速になります。
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Dレンジ5速走行時にアクセルペダルを踏み込まずにマニュアルモードにした場合、ギアは4速になります。また、Dレンジ6速走行時にアクセルペダルを踏み込まずにマニュアルモードにした場合、ギアは5速になります。
表示
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マニュアルモード表示
マニュアルモードにすると、メーター内にあるセレクトレバー位置表示のMが表示されます。
ギア位置表示
ギア位置が表示されます。
高速走行中、速度によりシフトダウンできないときは、ギア位置表示が2回点滅します。
自動変速になる場合があります
オートマチックトランスミッションフルード (ATF) の温度が高温になると、マニュアルモードが解除される場合があり、マニュアルモードが解除されるとメーター内のギア位置表示が消灯し、自動変速になります。これはオートマチックトランスミッションを保護するための正常な機能です。しばらくしてATF温度が下がるとギア位置表示が再び点灯しマニュアルモードでの走行が可能になります。
シフトアップのしかた
セレクトレバーによりシフトアップ (M1→M2→M3→M4→M5→M6) することができます。
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セレクトレバーを
側に動かすとシフトアップ (高速ギアに変速) します。
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低速時は速度によりシフトアップできないことがあります。
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マニュアルモードではタコメーターの指針がレッドゾーンに入らないように運転してください。なお、アクセルペダルをいっぱいに踏み込んでいる間は自動変速に切り替わります。
ただし、TCSをOFFにしているときは、この機能は停止されます。また、エンジン回転が高い状態で連続走行されたときには、エンジン保護のため自動的にシフトアップする場合があります。
シフトダウンのしかた
セレクトレバーによりシフトダウン (M6→M5→M4→M3→M2→M1) することができます。
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セレクトレバーを
側に動かすとシフトダウン (低速ギアに変速) します。
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高速走行中、またはぬれた路面や積雪路、凍結路を走行しているときは、急激なエンジンブレーキの使用 (シフトダウン) は避ける。
タイヤがスリップし、思わぬ事故につながるおそれがあります。
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高速走行中は、速度によりシフトダウンできないことがあります。
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減速中は、速度により自動的にシフトダウンします。
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マニュアルモードでも、アクセルペダルをいっぱいに踏み込むとキックダウンします。ただし、TCSをOFFにしているときは、キックダウンしません。
→参照「オートマチック車の特性」
2速固定モード
車速が約10 km/h以下のときにセレクトレバーを側に動かして2速にすると2速固定モードになり、ギア位置は2速に固定されます。雪道などすべりやすい路面での発進や走行がしやすくなります。
2速固定モードのときに、セレクトレバーを側または
側に動かして2速以外にすると2速固定モードは解除されます。
シフトチェンジ (変速) 制限速度
マニュアルモードでは、各ギア位置において次の表のような制限速度を設けています。制限速度範囲内のときにセレクトレバーを操作すると変速します。

シフトアップ
制限速度より低いときはシフトアップしません。
シフトダウン
制限速度を超えているときはシフトダウンしません。
制限速度を超えていてシフトダウンしなかった場合には、ギア位置表示が2回点滅し、変速できないことを運転者に知らせます。
キックダウン
走行中にアクセルペダルをいっぱいに踏み込むと、キックダウンします。
ただし、TCSをOFFにしているときは、キックダウンしません。
オートシフトダウン
減速中は、速度により自動的にシフトダウンします。
オートマチック車を運転するときに
発進または後退するとき
マニュアル車では発進時の速度をクラッチ操作とアクセル操作を併用して調節しますが、オートマチック車ではアクセル操作のみで行ないますので、アクセル操作は慎重に行なってください。
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ブレーキペダルを踏んだまま、セレクトレバーを操作します。
前進···D、M
後退···R
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セレクトレバーの位置を確認します。
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パーキングブレーキを解除します。
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ブレーキペダルを徐々にゆるめ、アクセルペダルを踏み発進します。
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セレクトレバーをRの位置に入れるとチャイムが鳴り、セレクトレバーがRの位置に入っていることを運転者に知らせます。
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少し後退したときなどはセレクトレバーをRに入れたことを忘れてしまうことがあります。後退したあとは、すぐにセレクトレバーをNにもどし、発進時にはセレクトレバーの位置を確認してください。
急な坂道での発進
パーキングブレーキをかけたまま、アクセルペダルを踏み、車が動く感触を確認しながらパーキングブレーキを解除します。
走行するとき
通常走行
セレクトレバーをDに入れて走行します。アクセルとブレーキの操作で加速/減速します。
ギヤは1速から6速の間で、自動的に変速されます。
マニュアルモード走行
停車中または走行中にセレクトレバーをDからMに入れると、マニュアルモードにセットされ、マニュアルトランスミッションのような操作ができます。
→参照「マニュアルモード」
急加速
セレクトレバーがDまたはMのとき、アクセルペダルをいっぱいに踏み込むと、キックダウンして急加速できます。
急な上り坂での走行
坂の勾配に応じ、マニュアルモードで変速してください。エンジン回転の変化が少ないなめらかな走行ができます。
下り坂での走行
エンジンブレーキが必要なときは、マニュアルモードにして、低速ギアにシフトダウンしてください。
マニュアルモードのときは、走行速度にあわせて1段ずつシフトダウンし、エンジンブレーキを併用してください。
停車するとき
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ブレーキペダルをしっかりと踏んでおきます。
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必要に応じてパーキングブレーキをかけます。
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停車時間が長くなりそうなときは、セレクトレバーをNまたはPに入れます。
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停車中、むやみにアクセルペダルを踏まない。
セレクトレバーがP、N以外に入っているとき、誤ってアクセルペダルを踏むと急発進するため思わぬ事故につながるおそれがあります。
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停車後、再発進するときはセレクトレバーの位置に思い違いがないよう確認する。
意に反して車が動き出すと、思わぬ事故につながるおそれがあります。
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アクセルペダルとブレーキペダルを同時に踏んだり、上り坂でセレクトレバーを前進位置に入れ、アクセルをふかしながら停車しないでください。トランスミッションが過熱し、故障につながるおそれがあります。
駐車するとき
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車を完全に止めます。
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セレクトレバーをPに入れます。
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ブレーキペダルを踏んだまま、パーキングブレーキをかけます。
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エンジンを止めます。
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駐車するときは、セレクトレバーをPに入れ、パーキングブレーキをかける。
パーキングブレーキをかけただけや、セレクトレバーをPに入れただけで駐車していると、車が勝手に動き出し思わぬ事故につながるおそれがあります。
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エンジンをかけたまま駐車しない。
万一セレクトレバーがP、N以外に入っていた場合、クリープ現象で車が勝手に動き出したり、乗り込むときに誤ってアクセルペダルを踏み、急発進するなど、思わぬ事故につながるおそれがあります。
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セレクトレバーをPに入れるときは、車を完全に止めてから行なってください。車が完全に止まる前にセレクトレバーをPに入れると、トランスミッションに無理な力がかかり故障につながるおそれがあります。
そのほかに気をつけること
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坂道などで、セレクトレバーを前進位置に入れたまま後退したり、後退位置に入れたまま前進しない。
エンジンが停止してブレーキの効きが悪くなったり、ハンドルが重くなったりして思わぬ事故につながるおそれがあります。