MRCC (マツダレーダークルーズコントロールシステム)★

MRCCは、アクセルペダルやブレーキペダルを踏まなくても、約45km/h~100km/hの設定した速度での定速走行や、前走車との車間距離を一定に保つ追従走行ができる装置です。前走車がいないときは、設定された速度で定速走行を行います。また、設定速度以下の速度で走行する前走車がいるときは、前走車と一定の距離を保ち追従走行します。
高速道路、加速/減速の繰返しが少ない自動車専用道路などで使用してください。
定速走行
追従走行 (減速走行)
追従走行 (加速走行)
約45~100km/hの間の設定された速度で走行します。
定速走行中に自車より遅い前走車が現れたとき、減速後追従走行を行います。
設定速度より遅い前走車がいなくなったとき、設定速度までゆっくり加速し、定速走行を行います。
MRCCの車間距離制御は、レーダーセンサーが前方の前走車を検知することにより行います。レーダーセンサーが検知できる範囲は前方約100mです。
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MRCCを過信せず安全運転に心がけてください。MRCCが作動した状態での車間距離制御には限界があり、アクセルやブレーキ操作を怠ると思わぬ事故につながるおそれがあります。周囲の安全を確認してブレーキペダルやアクセルペダルを踏むなど、前走車や後続車との車間距離を十分に確保してください。
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追従走行をするとき、2輪車を前走車として設定しないでください。また、道路端を走行している2輪車には注意してください。レーダーが2輪車を検出できず、接近警報が作動しないまま設定速度まで加速し、思わぬ事故につながるおそれがあります。
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MRCCは自動ブレーキ操作により車両を完全に停止させるシステムではありません。また、ブレーキ制御を行いますが減速には限界があり、前走車が急ブレーキをかけたときや他車が割り込んだ場合などは十分な減速ができず、前走車に接近するなどして思わぬ事故につながるおそれがあります。周囲の安全を確認してブレーキペダルを踏むなど、前走車との車間距離を十分に確保してください。また、後続車との車間距離も確保してください。
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次のような場所では使用しないでください。思わぬ事故につながるおそれがあります。
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急なカーブ、交通量が多く車間距離が十分に取れない道路や頻繁に加減速を繰り返すような道路 (道路状況に合わせた走行はできません。)
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カーブが連続する道路 (追従走行中に前走車がカーブを曲がりレーダー範囲から消失したときに不意に加速したり、レーダーが壁などを検出してブレーキを作動させる場合があります。)
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急な下り坂 (前走車がいないときは、自動的にブレーキ操作は行われないため、設定された速度をこえる場合があります。また、追従走行時は減速するタイミングが遅れる場合があります。)
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高速道路などでインターチェンジ・サービスエリア・パーキングエリアへ進入するなど本線から出るとき (本線上で追従走行していたときは、自車が本線から出ることにより前走車がいなくなり、設定された速度まで加速する場合があります。)
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雨・霧・雪など天候が悪いとき (前走車や障害物の状況が正確に検知できない場合があります。)
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凍結路や積雪路などの滑りやすい路面 (タイヤが空転して、車のコントロールを失うおそれがあります。)
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上り坂、下り坂が繰り返される道路 (前走車を検知できず、前走車に接近しすぎるおそれがあります。)
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停車中の車両や極端に遅い車両に対しては、MRCCの制御も接近警報も行わないため、思わぬ事故につながるおそれがあり危険です。料金所や渋滞の最後尾で停車中や極端に速度の遅い車両などには十分注意してください。
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車両から近距離の範囲ではレーダーセンサーの検知エリアが狭いため、割り込んできた車両の検知が遅れるため、十分な車間距離が保てずに、思わぬ事故につながるおそれがあります。周囲の安全を確認してブレーキペダルを踏むなど、前走車との車間距離を十分に確保してください。また、後続車との車間距離も確保してください。
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カーブが連続する道路、カーブの出入口、工事中や車線規制で車線幅の狭い道路を走行するときや、車線内の位置、事故や故障で不安定な走行をしているときは、隣の車線の車両や周辺の障害物を検知してMRCCが制御または接近警報が作動したり、前走車を検知できず思わぬ事故につながるおそれがあります。
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MRCCはレーダーセンサーから発信される電波が前走車後面で反射し、もどってきた電波を検知することで制御を行っています。次のようなときは、前走車を正確に検知できないため車間距離が適切に保てずに、思わぬ事故につながるおそれがあります。状況に応じて周囲の安全を確認してブレーキペダルを踏むなど、前走車との車間距離を十分に確保してください。また、後続車との車間距離も確保してください。
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前走車が水をまき上げて走行するなど前方の視界状況が悪いとき
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前走車が空荷のトレーラーなど後面が電波を反射しにくい車両のとき
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ラゲッジルームや後席へ重い荷物をのせたとき
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フロントバンパーの表面に氷や雪、汚れなどが付着しているとき
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MRCCのセンサーはフロントバンパーの裏側に設置されています。MRCCの正しい作動のため、次のことをお守りください。
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レーダーセンサー付近のバンパー表面にステッカー (透明なものを含む) などを貼り付けないでください。レーダーが前走車を正しく検出できず思わぬ事故につながるおそれがあります。
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レーダーセンサー本体の横またはボンネットロック付近にある調整ボルトは回さないでください。また、レーダーセンサーの分解なども行わないでください。
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接触事故などでフロントバンパーへ衝撃が加わったときは、必ずマツダ販売店で点検を受けてください。レーダーセンサーの位置がずれたままMRCCを使用すると意に反して作動し、思わぬ事故につながるおそれがあります。
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サスペンションの改造をしないでください。車の傾きが変わると前走車を正しく検知できないため、MRCCが正常に作動しなくなったり、誤って作動し、重大な事故につながるおそれがあります。
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4輪ともすべて指定されたサイズで、同一メーカー・同一銘柄・同一トレッドパターンのタイヤを使用してください。また、摩耗差の著しいタイヤを混ぜて使用しないでください。タイヤを混ぜて使用すると、MRCCが正常に作動しなくなるおそれがあります。
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応急用スペアタイヤを装着しているときは、MRCCを使用しないでください。システムが正常に作動しないおそれがあります。
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レーダーセンサーは、センサー前面の汚れを検知してお知らせする機能を備えていますが、ビニール袋や氷、雪などが付着した場合など、状況によっては検知できない場合があります。このようなときは、十分な車間距離が保てずに、思わぬ事故につながるおそれがあります。常に前方に注意して運転してください。
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MRCCは次のすべての条件を満たしているときに作動します。
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セレクトレバーがDまたはM3~M6 (マニュアルモード) のとき
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ブレーキペダルを踏んでいないとき
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車速が約45km/h~100km/hのとき
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DSCが作動していないとき
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パーキングブレーキがかかっていないとき
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追従走行時は前走車の速度にあわせて加速や減速を行いますが、車線変更などで加速が必要なときや前走車の急制動、割り込みなどで急接近したときは、状況に応じてアクセルペダルで加速、ブレーキペダルで減速を行ってください。
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セレクトレバーがM3~M6 (マニュアルモード) でMRCCを使用して走行しているときは、セレクトレバーを操作してもMRCCが解除されないため、エンジンブレーキがかかりません。減速が必要なときは、SET/RESスイッチで設定速度を下げるか、ブレーキペダルを踏んでください。

◆ディスプレイ表示

MRCCの設定状況をメーター内のディスプレイでお知らせします。

◆MRCC警告灯 (橙)/MRCC表示灯 (緑)

MRCC警告灯 (橙)
エンジンスイッチをONの位置にすると点灯し、しばらくすると消灯します。システムに異常があるときは点灯します。マツダ販売店で点検を受けてください。
バッテリーのターミナルやヒューズの脱着などにより、バッテリーとの接続が断たれるとシステムが作動しなくなります。 (このとき警告灯が点灯します。)
システムを作動可能な状態にするために、次の操作を行なってください。
1
エンジンスイッチをONの位置にします。
2
ハンドルを右いっぱいまでまわし、その後左いっぱいまでまわします。
3
エンジンスイッチをLOCKまたはACCの位置にし、再度ONの位置にします。
4
警告灯が消灯することを確認します。
エンジンスイッチを再度ONの位置にした後でも警告灯が消灯しないときは、マツダ販売店に連絡してください。
MRCC表示灯 (緑)
MRCCメインスイッチを押すと点灯します。

◆接近警報

追従走行時に前走車が急制動を行ったときなど十分な減速ができない状態で前走車に接近したときは、チャイムが断続的に鳴り続け、ディスプレイのブレーキ警報が橙色で点滅します。周囲の安全を確認してブレーキペダルを踏むなど、前走車との車間距離を十分に確保してください。また、後続車との車間距離も確保してください。
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接近警報が頻繁に作動するような状況では、MRCCを使用しないでください。
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前走車と接近したときでも、次の場合には警報が作動しない場合があります。
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前走車との速度差が小さいとき
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MRCCをセットした直後
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アクセルペダルを踏んでいるとき、およびアクセルペダルを離した直後
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他車が割り込んできたとき

◆設定するとき

MRCCメインスイッチを押すと速度の設定や追従走行時の車間距離の設定ができる状態になります。同時にメーター内のMRCC表示灯 (緑) が点灯します。
MRCCを使わないときは、安全のためMRCCメインスイッチをOFFにしておいてください。
エンジンスイッチをLOCKまたはACCにしたときは、MRCCメインスイッチは自動的にOFFになります。
速度の設定をするとき
アクセルペダルの操作で希望の速度に調節します。速度が設定可能な状態に到達するとディスプレイのMRCC待機表示が表示されます。
設定速度は前回設定した速度が表示されますが、エンジンを切ったときは設定速度の記憶は消去されます。
SET/RESスイッチを引き下げて手を離すと定速走行をはじめます。同時にディスプレイに設定速度が表示され、チャイムが1回鳴ります。
走行状態
ディスプレイ表示
定速走行時
追従走行時
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定速走行中に前走車を検知すると、ディスプレイに前走車表示が表示され、追従走行を行います。また、前走車を検知しなくなったときは、ディスプレイの前走車表示が消灯し、定速走行に切り替わります。
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ディスプレイのMRCC待機表示が表示されていないときにSET/RESスイッチを引き下げるとチャイムが3回鳴り、速度が設定できないことをお知らせします。
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設定速度より速い速度で走行している車両を前走車としての追従走行はできません。
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交通量が少なく、レーダーセンサーが検知する前走車や障害物が少ない道路を走行すると、ディスプレイにレーダーセンサー異常表示が一時的に表示されることがありますが異常ではありません。
追従走行時の車間距離を設定するとき
DISTANCEスイッチを押すことにより、追従走行時の車間距離が、長→中→短→長・・・の順で3段階に切り替わります。
車間距離の目安
(80km/h走行時)
ディスプレイ表示
長 (約50m)
中 (約40m)
短 (約30m)
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車間距離は速度により異なり、速度が遅いほど車間距離は短くなります。
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エンジンを止めると、車間距離設定は「長」にもどります。

◆設定速度を上げるとき

次の操作で設定速度を上げることができます。
スイッチで加速するとき
SET/RESスイッチを引き上げたまま、希望の速度になったところで手を離します。またスイッチを引き上げてすぐに手を離すと、設定速度を5km/hずつ調節することができます。たとえば、スイッチを4回引き上げると、設定速度が約20km/h上がります。
追従走行時にスイッチを引き上げてすぐに手を離すと、設定速度の調節はできますが加速しません。前走車がいなくなったとき、設定速度になるまで加速し続けます。設定速度はディスプレイの設定速度表示で確認してください。
アクセルペダルで加速するとき
アクセルペダルを踏み、希望の速度になったところでSET/RESスイッチを引き下げて手を離します。スイッチを引き下げなければ、アクセルペダルから足を離すと、もとの設定速度にもどります。
アクセルペダルを踏んでいるときは、警報やブレーキ制御が作動しません。
アクセルペダルを踏んでいるときは前方に前走車がいてもディスプレイに前走車表示が表示されません。

◆設定速度を下げるとき

SET/RESスイッチを引き下げたまま、希望の速度になったところで手を離します。
またスイッチ引き下げてすぐに手を離すと、設定速度を5km/hずつ調節することができます。たとえば、スイッチを4回引き下げると、設定速度が約20km/h下がります。
設定速度の下限は45km/hです。スイッチ操作により設定速度が45km/hになったときは、スイッチを引き下げても約45km/hの定速走行を行います。このときMRCCは解除されません。

◆解除するとき

MRCCメインスイッチを押すと、MRCCが解除され、MRCC表示灯 (緑) が消灯します。
次のようなときは、MRCCが解除され、ディスプレイにMRCC待機表示 (車速が約45Km/h以上のとき) が表示されます。車速が45Km/h以上であれば、SET/RESスイッチを引き上げると、もとの設定速度にもどります。
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CANCELスイッチを押したとき。
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ブレーキペダルを踏んだとき。
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車速が40km/h以下になったとき
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前走車を安定して検知できないとき
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車両が横すべりなどをして、DSCが作動したとき
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雨・霧・雪など天候が悪いときやレーダーセンサーが汚れたときもMRCCが解除される場合があります。
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MRCCメインスイッチを押してMRCCを解除したときは、SET/RESスイッチを引き上げてももとの設定速度にもどりません。

◆レーダーセンサーの取り扱い

MRCCのセンサーはフロントバンパーの裏側に設置されています。
MRCCの正しい作動のため、レーダーセンサー付近のバンパー表面は、いつもきれいにしておいてください。
外装の手入れ
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レーダーセンサーが正常に作動しないときはディスプレイのレーダーセンサー異常表示が表示されます。レーダーセンサー付近のバンパー表面の汚れを取り除いても異常表示が表示されたままのときは、マツダ販売店で点検を受けてください。
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レーダーセンサーはマツダプリクラッシュセーフティーシステムも作動させます。
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レーダーセンサー付近のバンパーの修理、塗装、交換をするときは、マツダ販売店にご相談ください。

◆こんなときは

MRCCを誤って使用した場合や、使用上の注意が必要な場合にチャイムとメーターの表示灯やディスプレイでお知らせします。
警報
確認すること
MRCCを設定するときに、チャイムが「ピッピッピッ」と3回鳴るとき
車速が低すぎるなど、MRCCが作動可能な条件を満たしていません。
ディスプレイにレーダーセンサー異常表示が表示されたとき
フロントバンパーが汚れています。レーダー設置部周辺のバンパーをきれいにしてください。
レーダーセンサーの取り扱い
MRCC作動時に、チャイムが「ピー」と鳴るとき
車速が40km/h以下になるなどで、MRCCが解除されています。
走行中にチャイムが「ピッピッピッピッ」と断続的に鳴るとき
前走車との車間距離が近すぎます。周囲の安全を確認し、減速してください。
MRCC作動時に、チャイムが「ピー」と鳴り、メーター内のMRCC警告灯 (橙) が点灯するとき
システムの異常が考えられます。マツダ販売店で点検を受けてください。