ハイブリッドシステムについて
ハイブリッドシステムとは
ハイブリッドシステムの特徴
ハイブリッドシステムは、ガソリンエンジンと電気モーターという、2つの異なる動力を効率よく組み合わせて走行することで、優れた動力性能と燃費性能を両立させたシステムです。さらに、排出ガスを低減させ、環境にも配慮しています。

ハイブリッドシステムの作動
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メーター内のREADYインジケーターが点灯しているとき走行できます。ガソリンエンジンは状況により自動始動/自動停止します。
→参照「ハイブリッドシステムの始動と停止」
始動時、停車時
始動時、停止時はガソリンエンジンを停止し、ガソリンの消費を節約します。
始動時、停止時でも、次のようなときはガソリンエンジンが始動することがあります。
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エンジン冷却水の温度が低いとき (暖機中)
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高電圧バッテリーの充電が必要なとき (発電)
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高電圧バッテリーの温度が高いとき、または低いとき (高電圧バッテリー保護)
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暖房をかけたとき (暖房性能確保)
この他にも、状況によりガソリンエンジンが自動停止しない場合があります。
発進時、低速走行時
発進時、低速走行時はガソリンエンジンを停止し、電気モーターの動力を使用します。
発進時や低速走行時でも、次のようなときはガソリンエンジンが始動する、またはガソリンエンジンが停止しないことがあります。
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エンジン冷却水の温度が低いとき (暖機中)
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高電圧バッテリーの充電が必要なとき (発電)
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高電圧バッテリーの温度が高いとき、または低いとき (高電圧バッテリー保護)
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暖房をかけたとき (暖房性能確保)
この他にも、状況によりガソリンエンジンが自動始動/自動停止しない場合があります。
通常走行時、高速走行時
ガソリンエンジンの動力を主に使用します。
必要に応じて電気モーターを発電機として利用し、高電圧バッテリーを充電します。
急加速時
加速のため、アクセルペダルを大きく踏み込むと、電気モーターへ高電圧バッテリーから電気を供給し、電気モーターを駆動します。ガソリンエンジンの動力に電気モーターの動力を加えることで、強い加速力が得られます。
減速時、制動時 (回生ブレーキ)
回転する車輪の力で電気モーターを発電機として利用し、高電圧バッテリーを充電します。
回生ブレーキとは
回生ブレーキとは、電気モーターを発電機として利用するときに発生するブレーキ力のことで、車の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するときに発生します。
シフトポジションがDまたはBで走行中、次のようなときに発電し高電圧バッテリーを充電します。
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アクセルペダルから足を離したとき
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ブレーキペダルを踏んだとき
後退時
電気モーターの動力を主に使用します。
ハイブリッドシステム特有の取り扱い
暖機運転について
走行前の暖機運転は必要ありません。ハイブリッドシステム始動後、ガソリンエンジンが冷えているときは、ガソリンエンジンの自動始動/自動停止を行ない最適な温度にします。
電磁波について
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電磁シールド構造の高電圧部位や高電圧配線を採用しています。そのため、電磁波が従来の車や家電製品と比べ多いということはありません。
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遠距離通信のアマチュア無線の一部で、無線の受信時に雑音が混入する場合があります。
高電圧バッテリーの充電について
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高電圧バッテリーの充電は、ガソリンエンジンの動力や回生ブレーキによって自動的に行なわれます。そのため、車外からの充電は必要ありません。ただし、高電圧バッテリーは車両を長期間放置すると少しずつ放電します。高電圧バッテリーあがり予防のため、少なくとも2~3か月に一度を目安に、次のいずれかの運転をしてください。
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約30分間走行する
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約16kmの距離を走行する
万一、高電圧バッテリーが完全に放電し、ハイブリッドシステムを始動できないときはマツダ販売店に連絡してください。
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駐停車時は必ずシフトポジションをPにしてください。また、渋滞時などでもDまたはBで運転してください。シフトポジションがNのときは、高電圧バッテリーの充電が行なわれません。
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高電圧バッテリーには寿命があります。寿命は車の使い方、走行条件により異なります。
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UNECEはUnited Nations Economic Commission for Europe (国連欧州経済委員会) の略です。
ハイブリッド車特有の音と振動について
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READYインジケーターが点灯している走行可能な状態でも、ハイブリッド車は通常の車のようにエンジン音や振動がないことがあるため、走行可能な状態に気が付かない場合があります。駐車時は安全のためパーキングブレーキをかけて、シフトポジションを確実にPにしてください。
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ハイブリッド車では通常の車と異なる特有の音や振動があります。
次のような音や振動が発生することがありますが、ハイブリッド車特有のものですので、異常ではありません。
種類 (音/振動)
発生状況/発生箇所
ブレーキシステムの作動音
運転席ドアを開いたときに車両前方から聞こえる
電気モーターの作動音
加速時に“キーン”という音がエンジンルームから聞こえる
高電圧リレーの作動音
ハイブリッドシステム始動時や停止時に“コトン”、“カチッ”という音が車両後方および高電圧バッテリーから聞こえる
HEVトランスアクスルの作動音
ガソリンエンジンの始動/停止時や低速走行時、およびアイドリング中に“コツコツ”、“カタカタ”という音が聞こえる
回生ブレーキの作動音
減速時 (ブレーキペダルを踏んだときや、アクセルペダルをゆるめたとき) に“ヒューン”という音がエンジンルームから聞こえる
ブレーキシステムの作動音
ブレーキペダルを操作したときに車両前方から聞こえる
ガソリンエンジンの始動音
ガソリンエンジンの始動時“ガガ”、“ゴゴ”という音がエンジンルームから聞こえる (寒冷時、大きくなることがあります)
Pポジション制御システムの作動音
シフトポジションをPにしたとき、またはPから他のシフトポジションへ切り替えたとき“カチン”という音がエンジンルームから聞こえる
高電圧バッテリー冷却用ファンの作動音
リアシート右側面にある吸入口から聞こえる
エアコン (コンプレッサー、ブロアモーター) の作動音
ハイブリッドシステム始動時や停止時にエンジンルームやインストルメントパネル奥から聞こえる
ガソリンエンジンの振動
ガソリンエンジンの始動/停止時に振動する
ハイブリッド車特有の作動について
ハイブリッド車では通常の車と異なる特有の作動があります。
次のような作動はハイブリッド車特有のものですので、異常ではありません。
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ハイブリッド車のエンジン回転数は、燃費の向上や排出ガス低減、バッテリーの充電のために、常に最適になるよう精密に制御されています。そのため、同じような走行条件や運転条件でも、エンジン回転数が変化しエンジン音が異なって聞こえることがあります。
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高電圧バッテリーの残量が少ないときは、アクセルペダルから足を離してもエンジン回転が高くなることがあります。
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シフトポジションをBにして下り坂を走行するときは、エンジン回転が高くなります。これはエンジンブレーキを効かせるためで、ガソリンは消費しません。
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高電圧バッテリーが満充電に近づいたときは、エンジン回転が高くなることがあります。これは必要以上に発電された電力を放出するためで、ガソリンは消費しません。
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通常の車に比べて高速走行時は、エンジンブレーキによる減速感が小さくなります。強くエンジンブレーキを効かせたい場合は、シフトポジションをBにしてください。ただし、シフトポジションをBのまま走行し続けると、燃費の悪化につながりますので、通常はシフトポジションをDにして走行してください。
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高電圧バッテリーの残量が少ないときは、アクセルペダルを踏み込んでも、加速力が低下したように感じることがあります。これは電気モーターの駆動力を抑制して、高電圧バッテリーの消費を抑えているためです。
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外気温が低いときのハイブリッドシステム始動時、READYインジケーターの点滅時間が長くなることがあります。READYインジケーターが点灯するまで、ブレーキペダルを踏み続けてください。READYインジケーターが点灯すれば走行可能になります。
車両接近通報装置について
次のような場合、通報音が周囲の人に聞こえにくいことがあります。
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周囲の騒音が大きいとき
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雨や強風などの悪天候のとき
また、車両接近通報装置は車両前側に装着されています。そのため、車両後方は車両前方と比べ聞こえにくいことがあります。
→参照「車両接近通報装置」
12Vバッテリーがあがったときや交換などで取りはずしたときは
12Vバッテリーがあがったときや交換などで取りはずしたときは、ガソリンエンジンの自動停止が作動しないことがあります。この状態が2~3日続く場合はマツダ販売店に連絡してください。
ハイブリッドシステムの注意
高電圧部位、高温部位に注意する
ハイブリッドシステムには、高電圧バッテリー、パワーコントロールユニット、電気モーター、オレンジ色の高電圧配線などの高電圧部位 (最高約650V) や、ラジエーターなどの高温部位があります。
取り扱い上の注意を記載したラベルが、高電圧部位などに貼り付けてあります。必ずラベルの指示に従い、正しく取り扱いください。

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高電圧部位、高温部位に十分注意する。
ハイブリッド車は、高電圧システムを使用しています。取り扱いを誤ると、感電ややけどなど命にかかわる重大な傷害を受けるおそれがあります。
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高電圧部位、オレンジ色の高電圧配線およびそのコネクターの取りはずし/分解などは絶対に行なわないでください。
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ハイブリッドシステムやガソリンエンジンは作動すると高温になります。車両に貼り付けてあるラベルの指示に従い、高電圧部位、高温部位には常に注意してください。
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高電圧バッテリーには、サービスプラグが設置されています。このサービスプラグは、高電圧バッテリーの高電圧を遮断するためにマツダ販売店で車両の修理時などに使用するものです。サービスプラグの取り扱いを誤ると感電など命にかかわる重大な傷害につながるおそれがあるため、絶対にさわらないでください。
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高電圧バッテリー冷却用吸入口をふさがない
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高電圧バッテリー冷却用の吸入口は、リアシートの横 (運転席側) にあります。吸入口をふさぐと高電圧バッテリーが過熱するなど故障のおそれがあります。
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吸入口のまわりに荷物などを置かないでください。吸入口がふさがれると高電圧バッテリーが過熱したり、故障の原因になります。
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リアシートベルトがたるんでいないこと、シートベルトガイドに通っていることを確認してください。リアシートベルトがたるんでいたり、シートベルトガイドからはずれていると、吸入口をふさいでしまうおそれがあります。吸入口がふさがれると高電圧バッテリーが過熱したり、故障の原因になります。
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吸入口が目づまりしないよう、定期的に吸入口を清掃してください。
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高電圧バッテリーが損傷するおそれがあります。吸入口に水や異物を入れないでください。
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多量の水を高電圧バッテリー周辺にこぼさないよう注意してください。誤ってこぼしてしまったときは、マツダ販売店で点検を受けてください。
メンテナンスや修理、使用済み自動車の廃車について
高電圧バッテリーなど高電圧部位の取り扱いには専門的な知識と技術が必要です。
お車のメンテナンスや修理、使用済み自動車として廃車する場合は必ずマツダ販売店にご相談ください。
高電圧バッテリーの取り扱いついて
高電圧バッテリーの取り扱いには専門的な知識と技術が必要です。
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高電圧バッテリーを安全に取り扱うために、次の事項を必ず守る。
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高電圧バッテリーを取りはずさない
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高電圧バッテリーを転売、譲渡、改造しない
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高電圧バッテリーを装備された車両以外で使用しない
適切に取り扱わないと次のようなことが起こり、命にかかわる重大な傷害につながるおそれがあります。
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放置または不法投棄された高電圧バッテリーの高電圧部位に触れてしまい感電事故が発生する。
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装備された車両以外で高電圧バッテリーを使用し(改造などを含む)、感電事故、発熱・発煙・発火・爆発事故、電解液漏出事故などが発生する。
特に、転売・譲渡などを行なうと、相手にこれらの危険性が認識されず、事故につながるおそれがあります。
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高電圧バッテリーの廃棄について
メンテナンスで取り外された高電圧バッテリーを廃棄する場合はマツダ販売店にご相談ください。搭載された高電圧バッテリーによる事故を防止するため、マツダは高電圧バッテリーを回収しています。高電圧バッテリーが確実に回収されるよう、ご協力ください。
高電圧部品、高電圧配線、それらのコネクターに接触する感電事故が発生し、命にかかわる重大な傷害につながるおそれがあります。
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高電圧バッテリーを適切に処理する。
高電圧バッテリーを放置または不法投棄するなど、適切に回収し、廃棄しないと、第三者が高電圧部位に触れる感電事故を引き起こし、命にかかわる重大な傷害につながるおそれがあります。
12Vバッテリーの交換について
この車両に搭載されている12Vバッテリーは、専用品です。マツダ純正バッテリーの使用をおすすめします。
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12Vバッテリーを交換するときは、必ず専用品を使用する。
専用品以外のバッテリーを使用すると、可燃性ガス (水素ガス) が車内に侵入したり、引火や爆発したりするおそれがあり危険です。12Vバッテリーを交換するときはマツダ販売店にご相談ください。
使用済み自動車の廃車ついて
使用済み自動車として廃車する場合は、解体業者などで高電圧バッテリーの取り外しが必要です。お車を廃車する場合はマツダ販売店にご相談ください。搭載された高電圧バッテリーによる事故を防止するため、マツダは解体業者などを通じて高電圧バッテリーを回収しています。高電圧バッテリーが確実に回収されるよう、ご協力ください。
トラブルが起きたら
緊急停止システムについて
緊急停止システムは、事故などで衝撃を受けたとき、次のように作動します。
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高電圧を遮断するために、ハイブリッドシステムを停止
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燃料漏れを最小限に抑えるために、燃料供給を停止
緊急停止システムが作動した場合、ハイブリッドシステムを再始動させることができません。この場合は、マツダ販売店に連絡してください。
→参照「万一事故が起きたとき」
警告灯が点灯したとき、警告メッセージが表示されたとき、または12Vバッテリーとの接続が断たれたときは
ハイブリッドシステムを再始動できないおそれがあります。
始動操作をくり返してもハイブリッドシステムが始動(READYインジケーターが点灯)しない場合は、マツダ販売店に連絡してください。
→参照「12Vバッテリーあがりについて」
→参照「ハイブリッドシステムが始動しないとき」
→参照「警告灯が点灯、点滅したときは」
→参照「センターディスプレイにメッセージが表示されたときは」
ハイブリッド車運転上のアドバイス
燃費を良くする走らせかた
燃費を良くするためには、ハイブリッド車でも急加速や急ブレーキを控えるなど、通常のガソリン車と同じ心がけで運転しましょう。
ハイブリッド車は、ガソリンエンジンと電気モーターによる通常走行で、最も燃費が良くなるように制御されています。EVドライブモードを多用すると、燃費が悪くなることがあります。
走行前の暖機運転
ガソリンエンジンが冷えていても、暖機運転は不要です。ガソリンエンジンの始動/停止を自動的に行ない、最適な温度に調節します。
なお、暖機運転のためのガソリンエンジン始動が頻繁に行なわれるため、短距離走行のくり返しは燃費の悪化につながります。
発進/加速
アクセルペダルをゆっくりと踏み込み、ゆるやかに加速しましょう。
余分な燃料の消費を抑えることができます。
一定速度のとき
アクセルペダルの踏み加減を一定に保ちましょう。
アクセルペダルの踏み込み、踏みもどしは少ないほど、燃費が良くなります。
下り坂に入るとき、減速を始めるとき
早めにアクセルペダルをもどし、エンジンブレーキを使ってゆるやかに減速しましょう。
アクセルペダルをもどしゆるやかに減速すると、減速時に発生する回生エネルギーをより多く高電圧バッテリーに充電することができます。
エンジンブレーキについて
通常の車に比べて高速走行時は、エンジンブレーキによる減速感が小さくなります。
強くエンジンブレーキを効かせたい場合は、シフトポジションをBにしてください。シフトポジションをBのまま走行し続けると、燃費の悪化につながりますので、通常はシフトポジションをDにして走行してください。
減速時のブレーキ操作
減速時は、ゆるやかなブレーキ操作を早めに開始しましょう。
ゆるやかなブレーキ操作で減速すると、減速時に発生する回生エネルギーをより多く高電圧バッテリーに充電することができます。
渋滞
加速、減速のくり返し、長い信号待ちは燃費の悪化につながります。お出かけ前に交通情報を確認するなどして、なるべく渋滞を避けるように計画しましょう。
渋滞になったときは、アクセルペダルをできるだけ踏まず、ブレーキペダルをゆるめて進むようにすると余分な燃料の消費を抑えることができます。
高速道路での運転
控えめな一定速度で走行するようにしましょう。
料金所などで速度を落とすときは、ゆるやかなブレーキ操作を早めに開始しましょう。
ゆるやかなブレーキ操作で減速すると、減速時に発生する回生エネルギーをより多く高電圧バッテリーに充電することができます。